中国(China)×未来テクノロジー(futureTechnology)=中国テック(ChinaTech)②ファーフェイBATH から TMMD へ、そして国際特許出願件数世界一の中国テック
前回の「BATH」に続きまして、「TMMD」について書かさせていただきます。
「TMMD」とは、トウティアオ、メイチュアン、シャオミー、ディディの企業から一文字ずつ取った名前です。
簡単に4社の特徴を纏めてみました。
T:トウティアオ(今日頭条)
バイトダンスを親会社として持つ、AIを用いたニュースアプリを提供する企業。
M:メイトゥアン・ディエンピン(新美大)
中国のフードデリバリー市場でシェアが1位。
M:シャオミ(小米科技)スマートフォンの世界出荷台数が3位の総合家電メーカー。
D:ディディ(滴滴出行)
ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資している配車アプリを提供する企業。
トウティアオ(今日頭条)
サービスとしてはニュースアプリとして始まり、その後QAサイトやブログなどの複合的なサービスに進化しています。
中国国内では7億以上のユーザーがいて、一日のアクティブユーザーは6800万人と言われています。
人気の秘密は、単純なニュース配信アプリではなく、ショートビデオなど自分のコンテンツを投稿することが可能です。
そのため、情報を収集するために利用するだけではなく、コミュニケーションツールとしても活躍している特徴があります。
さらに、問題解決にアルゴリズムを採用しており、ユーザーが求めている情報を自動で提示してくれます。
利便性の向上から顧客満足度を高め、利用者が急増してきました。
このプラットフォームに注目している海外の企業も多く
アメリカのBuzzFeed社は、トウティアオにニュースコンテンツを提供することが公表しました。
また、アメリカの人気動画アプリの Flipagramを買収しました。
親会社のバイトダンスのTikTokは皆さんもご存知だと思いますが、人気があります。
これらの複数の新しいサービスをうまく活用して、新たなサービスが生まれてくるのではないのかと期待しています。
メイトゥアン・ディエンピン Meituan–Dianping(新美大)
新美大はもともと共同購入サイトを運営していたMeituan(美団)と口コミサイトを運営していたDianping(大衆点)が合併してできた企業です。
すでに香港証券取引所に上場しており、2020年末の時価総額は約22.3兆円になります。
もともとはメイトゥアンはローカルのサービスやエンターテインメントのクーポンを販売してその日のお得な情報を提供するサービス。
ディエンピンはユーザーによるレストランのレビューとグルーポンのようなグループ購入での割引を提供していました。
この2つのサービスが合併することで現在のメイトゥアン・ディエンピンが誕生。
今や総流通総額が258億4000万ドル、月間アクティブユーザーが1億5000万、一日の注文件数が1000万件以上と驚異的な数字を叩き出しています。
そしてコロナ禍の勢いに乗り、出前事業が急拡大。
私は中国テック企業の激しい競争の中で、勝ち組に残る企業と見ています。
シャオミ(小米科技)について
2010年設立。スマホメーカーからスタートしました。
2016年ごろよりスマホメーカーから家電メーカーへ移行。
それまで主にネットで販売した、スマホのアフターサービスを行っていたアップルストアそっくりの「小米之家」を、量販店で販売する家電のショールーム的な形態に転換させてきました。
また、2017年以降には大都市部の旗艦店である「小米之家」のてこ入れだけでなく、リアルの携帯ショップを中国全土に展開しています。
2018年にはスマートフォンの年間出荷台数が創業以来初めて1億台を超え、
2020年第3四半期の世界スマホ出荷台数で韓国・サムスン電子、華為技術(ファーウェイ)に次ぐ世界3位となりました。
米国の制裁によるファーウェイのシェアが落ち込みと、それによる欧州市場拡大。中国を抜き世界最大のスマホ市場となったインドでシェア1位の座を守り続けている事もその要因です。
日本でもアマゾン等での販売が活況になってきており、一台手にしてみてはいかがでしょうか。
ディディ(滴滴出行)
最後にTMMD唯一、厳しい環境下に置かれている企業です。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する配車アプリ企業ですが配車アプリ市場ではトップの座を守り続けてます。
しかし創業以来12年間ずっと赤字です。問題点は運転手の給与です。ライバルも多く、給与を下げられない状況です。黒字化には無人化が避けられないのかも。
ライバルのバイドゥは自動運転に注力しています。
自動車の進化を見据えて、ディディは次の手をどう打つのかが楽しみです。
いかがでしょうか?
これらの4社を簡単に紹介させていただきました。
世界知的所有権機関(WIPO)は今年3月2日、2020年の特許の国際出願件数を発表しました。中国が2年連続の首位となりました。
私は新型コロナウイルスの感染拡大でIT(情報技術)サービスの需要が拡大していることに加えて、中国の国際特許出願率の高さがBATHとTMMDの世界的な活躍を牽引していると思います。
テック産業アナリスト のと裕行でした。ありがとうございました。