持続可能エネルギー(Sustainable energy)×テクノロジー(Technology)=サステナブル・エネルギーテック(Sustainable-energyTech)①エネルギー調達という社会的責任
●再生可能エネルギーの時代
今週からは今話題の【持続可能エネルギー】について書かせていただきます。
私が勤務する富士通の、海外拠点ではそれぞれの地域での特色があり、拠点毎の再生可能エネルギー調達事情があります。地域社会に貢献できるような再生可能エネルギーを選択しなければなりません。
例えば2014年4月から何かと意識が高い北欧、フィンランドの富士通の事務所やデータセンターでは100%水力発電の電気、つまり再生可能エネルギーを使用しています。
そしてグリーン電力証書を授与されています。
国内事業所においてはどうでしょうか。基本的には電力会社さんが再生可能エネルギー提供メニューをお持ちでそれらを主に利用しています。
私が特に興味を持っているのは、コラム23号で紹介しました『芋エネルギー』です。「芋」を燃料とした新たなバイオマス発電ですが、身近で空いてる土地を有効活用しながらブロックチェーン技術を用いてエネルギーの価値を交換できる。
今でも日本に合ったベストなバイオマス発電(再生可能エネルギー)だと思っています。
●「データセンター」というテック産業のエネルギー問題
先日、日経新聞に【世界のクラウド、電気を「爆食」】という記事が掲載されました。
これは、近年のデジタル化によるパソコンやIT機器に必要な電力に加え、インターネット運用に必要な「データセンター」の電力、そして、スマートフォン、タブレットなどの普及率から複数の機器を持つ人の「通信量の増加」。
また、「5G」や「クラウドサービス」の登場により新たな「データセンター」の設置も増え、
3 年前に比べると約 3 倍強という、まさしく「電気を爆食」するように、電力消費が急増中だということです。
更には、コロナ禍による企業や個人のデータ利用も増え、クラウド用電力の利用に歯止めがかからない状態です。
ちなみに「クラウドサービス」とは、様々なデータを、自分のパソコンやスマートフォンにではなく、インターネット上、「データセンター」に保存する使い方、サービスのことです。
アメリカの調査会社によると、世界にある大規模「データセンター」の拠点数は、2020年12月時点で、597拠点ありましたが、これは、5年前の2倍に急拡大しています。
この「データセンター」は、熱を多く出すサーバーや、ルーターが設置され、冷却用ファンを回すなど、大量の電力を消費します。
「日本データセンター協会」の資料によると、1カ所あたり10万キロワットの電力供給が必要で、単純換算で、なんと「原子力発電所 0.1 基分」にあたります。
そして、この「データセンター」には大きな課題があります。
それは、運営に【CO2】が多く排出されることです。
各社の運営方法により、排出量の差はありますが、【環境・社会・ガバナンス】という ESG の観点からみてもこの問題を見過ごしては、未来へは進めません。
そこで、国内外のテック産業がこの対策として取り組むのが、「データセンター」の運営用に、【再生可能エネルギー】を調達することです。
しかし、日本の取り組みは遅れていて、世界が発電量全体の 30%を調達しているのに対して、日本は、いまだ20%前後です。
アメリカでは、Google や Amazon などの大手は、
「コーポレイト PPA(企業向け電力販売契約)」という【再生可能エネルギー】の長期調達システムがすでに出来上がっていますが、日本では原発の問題もあり、長期契約が難しいことから先が見えないのも問題となっています。
しかし、そうこうしてるうちに、Amazon は、日本専用の【再生可能エネルギー発電所】の設置を進め、Microsoft は、海中データセンターを検証中です。
私が勤務する富士通は、クラウド用電力を、2023年3月末までに全て【再生可能エネルギー】に切り替えると早期に発表し、冒頭でも紹介しましたが、この4月から世界中で順次切り替え始めています。
しかし、日本のテック産業にとって新たな「データセンター」の設置計画を進めなければ、
そして【再生可能エネルギー】を調達しなければ、経済的成長はありません。
先日、LINE が一部のデータを韓国のサーバーに保管していることが明らかになり、かなりの批判を浴びましたが、今後は、国内のデータを、いかに国内で保管管理するのかが、コンプライアンスとなる時代です。
つまり【再生可能エネルギー】の調達は、持続可能な開発という「社会的責任」ということです