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テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-55

ヒューマン・リソース(Human Resources)×テクノロジー(Technology)=HRTech企業の人事、総務が期待する『HRTech』

●今週の気になる【テック産業ニュース】:「富士通がチャレンジするジョブ型雇用」

 

富士通が日本経済新聞のNEXTストーリーのコーナーで、2月16日から5日間に渡り取り上げられました。その3回目の2月18日のタイトルは「新事業トップ ジョブ型で 5G、ポストを初の公募」です。

記事の一部には『2020年秋、国内の新任課長職600ボジションを、ジョブ型で社内で公募することを決めた。従来の課長昇進は部内の推薦をベースに決めており(=メンバーシップ型)、ほぼ出来レースのような状態だったが、今回は公募。ライバルは年齢に関係なくグループ全体に散らばり、事前説明会には1,500人が参加した。面接を中心としたオープンな場で競い合うことになる』と書かれており、企業人事における新たな時代の幕開けだと感じました。

 

サラリーマンにとって課長職になることは夢実現の第一歩です。私もかつてメンバーシップ型の課長試験に挑戦し、半年間レポートの執筆に追われた記憶を思い出しました。

 

欧米型の【ジョブ型雇用】。GAFAやグローバルな競争相手と戦う為には必要不可欠な雇用形態と期待しています。

 

しかし、この富士通の挑戦で一般社員はもとより、まわりの課長職、部長職は【ジョブ型】にどのように移行して行けばいいのでしょうか?

 

1つの分野の技術、スキルを磨いていき、専門性を高めるスペシャリストを目指す。そして中途採用者のプロ意識の高いライバルも増えるでしょう。

そして何よりも新型コロナウイルスの影響により在宅勤務などテレワークが浸透し、「仕事の成果」があたり前のことですが評価されるようになります。

 

ビジョンが明確な強いチームをみんなで力を合せて作る。その中で自分はどのポジションにつくのか。というイメージを持ってチャレンジすると、理解しやすいと思います。

 

この後は企業の人事、総務が期待する『HRTech』を紹介させていただきます。

 

●企業に最も期待される「HRTech」

 

今現在、企業運営において、最も活用され、更に、今後、最も期待が持てる【テック産業】をご紹介します。

 

それは、【HRTech(エイチアール・テック)】です。

 

これは、人事や人材を表現する【HR(ヒューマンリソース)】と【テクノロジー】を組み合わせた造語ですが、実は、【HRTech】の歴史は古く、1960年代の「給与計算のシステム」の導入がその始まりだと言われています。

 

とはいえ当時はまだ、【HRTech】という言葉はなく、一般的に普及しはじめたのは、1990年代のネット求人広告からになります。

そして、しばらく国内では、人事や総務部が業務の効率化を図るためのテクノロジー・システムでしたが、海外の概念の範囲はもっと広く、例えば、SNSの運用を行う上で重要な【エンゲージメント率】を表すシステムについても【HRTech】とわれています。

 

【エンゲージメント率】を分かりやすく説明するとSNSで誰もが知っている「いいね!」「フォロー」「シェア」「コメント」などの数を数値化し、マーケティングするシステムです。

つまり「エンゲージメント」の元々の語源である約束や婚約の意味から進展し、企業と消費者の関係性や企業と社員の結び付きなどをデータ化しマーケティングすることも【HRTech】の範囲になります。

 

次に、日本の企業が人事・総務で活用する代表的な【HRTech】を5つご紹介します。

 

① 人事評価システム

② 採用管理システム

③ 勤怠管理システム

④ 労務管理システム

⑤ 給与管理システム

 

これらが導入され、もちろん企業によって評価基準や活用システムは異なりますが、共通するのは、【HRTech】を活用することにより、

「業務の効率化」「質の向上」「コストダウン」「従業員の満足度向上」などに貢献します。

また最近では「マイナンバー管理」「eラーニング」「健康管理」やコロナ禍を代表するデジタル化、「テレワーク」も【HRTech】の範囲であるという企業もあります。

 

しかし、確かに便利になりましたが、私の考えは、あくまでも「人」が解決しなければならない問題を【HRTech】を活用して答えをだすという意識を持たなければ本末転倒だということです。

 

あくまでも「人」です。

 

そしてここ数年で世界的な変化を見せたのが、「AI」「ビックデータ」を活用した【HRTech】です。特に人事における採用や配属などを「AI」で判断させることにより、より効率化を図ることが一時的にブームとなりましたが、実はヨーロッパでは、これが人権侵害に当たり、法律で禁止することになりました。

 

日本の場合は、就活用のシステムとして進化が先行し、今はまだ人権問題には至っていませんが、今後は、より一層デリケートになるでしょう。

私はこれらをデジタル化における倫理【エシカルテック】と呼んでいます。

 

とはいえ【HRTech】は、更に進化し、組織マネージメントや優秀な人材の再雇用するアルムナイ制度など新たな仕組みを生む期待のテクノロジーとなります。

 

良い距離間で「人として」良いお付き合いをすれば、「人に役立つ」システムとなるはずです・・・。