#44 電気自動車(EV : Electric Vehicle)×テクノロジー=EVテック(EV Tech)④コネクティッドカーの未来とプラットフォーム
2020年11月26日、日経新聞の電子版に『車のスマホキー、シエアや融資サービスの起点に』という見出しが出ました。これは、BMWやホンダが日本で販売する新車に、スマートフォンでクルマの鍵を開閉する【デジタルキー】が搭載されるという報道です。
そして2022年には、世界で約5030万台に搭載予定と書かれており、正直な感想は、現状の世界市場と日本のメーカーの遅れの差が際立つ記事だと思いました。
またApple社は、今年7月に、iPhone・アップルウォッチなどの基本ソフトに「クルマの鍵を再定義」し、この秋の新機種から発売すると発表しましたが、しかし国内では、今年1月、ソニーがNTTドコモと組み【デジタルシェアキー】の開発する発表に留まり、本格的な実用化はもう少し先で、ここでも世界と日本の差が明確に出てしまいました。
とはいえ、この【デジタルキー】の遅れには事情があり、もちろん日本のテクノロジーの問題ではなく日本の「道路運送車両法」に基づく保安基準が原因で、その法律ではクルマと鍵はセットで生産することが定められていたのです。
しかし、昨年10月に国土交通省が保安基準を改正するという、やっと重い腰を上げたのですが、世界市場の現状は、例えばアメリカのフォード・モーターでは、昨年2019年には既に【デジタルキー】搭載車の販売をしています。
記事にもありましたが、これからは【デジタルキー】により『シェアリング・エコノミー』『洗車や代行などの各種サービス』『融資やクレジットなどの対象』など様々な分野との連携活用が世界では動き出しています。
日本の自動車産業はグローバルスタンダードという世界市場のトップで活躍していますが、今回のような政府の対応でローカルスタンダードに格下げされないように、せめて未来への扉の鍵はデジタル対応にして欲しいものです。
コラムは、【デジタルキー】にも関係するクルマのDXについてお話します。
●クルマの新たな購買の魅力というDX
クルマの未来を見据えた自動車業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を、ご紹介致します。
そしてそれが【CASE】です。
【CASE】とは、
「C」 Connected (コネクティッド)
「A」 Autonomous (オートノマス)自動運転
「S」 Sharing (シェアリング)
「E」 EV(電気自動車)
の略です。
電気自動車については、前回ご紹介しましたので、残りの3つについて今回はご説明致します。
最初の【コネクティッド・カー】ですが、一言で言うと、クルマのIT化です。
最近では「つながるクルマ」とも言われますが、クルマに付けられたあらゆるセンサーと内部のネットワークにより、さまざまな可能性を期待できるのが【コネクティッドカー】です。
主な目的は「自動運転」と「安全の向上」、「快適な運転」です。そして、事故などの「緊急通報システム」や盗難防止、修理などに関する「スマートアラート機能」、クルマの中で音楽・映画・ゲーム・ショッピングが楽しめる「車内エンターテインメント」、クルマ同士がコミュニケーションできる「通信機能」、テスラが取り入れているスマートフォンを使ってクルマを60メートル以内であれば自動運転で呼び寄せる「スマートサモン機能」などなど、
取り組みはメーカー各社によって違いはありますが、今後は、これらのシステムがクルマの購買へつながります。
ちなみに富士通では、『Automotive Grade Linux(オートモーティブ・グレード・リナックス/AGL)』という【コネクティッドカー】のオープンプラットフォームを開発するプロジェクトに参画しています。
これは、「車内エンターテインメント」だけではなく、「ADAS(先進運転支援システム)」など自動走行などに適した自動車用のプラットフォームです。
次に「オートノマス・カー」、自動運転車は、もちろん理想のクルマですが、まだまだ法的な規制や各国の政府が「自動運転に関する定義」を設けていてレベル0から完全自動化のレベル5までの基準に合わせた実験検証中です。
とはいえ、アウディのように「ロボット・カー」などレベル4のライセンスを既に取得し、レベル5の発表・開発を進めるメーカーもあります。
3つめの「カーシェアリング」ですが、シェアしてクルマを乗る時代と話題になっていますが、私が思うに、新型コロナウイルスの影響により、1台のクルマをシェアする考え方は、
菌の接触の可能性を考えると今後なくなるのではと思います。
そうなれば、トヨタの「KINTO」のように定額で乗れるサブスクリプションな考え方の方が皆さんにはお薦めです。
最後に、新型コロナウイルスの影響により、あらゆる業界が変わり始めています。
このまま進めば想定外の状況が当たり前となります。例えばクルマをアマゾンやネットで買う時代が来るかもしれません。そうなれば、販売店は必要ありません。
とにかく想像力を豊かに、そして、柔軟でスピーディーな対応が必要な時代です。