7月 11 日(土) コラム24 号 エネルギー(Energy)×テック(Technology)= エネルギーテック④ マイケル・ムーア監督からのメッセージ
2020年7月11日、日経新聞の朝刊に『気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)』のことが記事になっていました。これは、九州や中部地方を襲った記録的な豪雨に関連させ、気候変動による自然災害の損失を企業活動の実損計上するものから、将来の損害を見積もりを開示すべき【リスク】であるというグローバルな取り組みのことです。
国内の自然災害の被害は皆さんもニュース等で実感されてるように年々拡大し、2018年度の自然災害の保険金支払額は過去最高の1.5兆円を超え、温暖化による温度の上昇によりここ40年で降雨量は1.3倍、洪水の発生頻度は約4倍になったそうです。
この危機感は、私たち国民だけでなく、企業としても自然災害に耐えうる経営を当然のように考える時代になったということです。そして、ESG投資だけでなく株主・投資家・社員に対しても、気候関連による【リスクマネジメント】の情報公開することも、経営の一環となりました。
ちなみに、『TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)』は、G20の要請を金融安定理事会(世界の金融庁の協会)が受け、ニューヨーク史上最高峰の人気市長といわれたマイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立された団体です。日本では、昨年5月に「TCFDコンソーシアム」が民間主導で設立され、現在1000以上の企業や団体、政府(環境省・経済産業省・金融庁)等が賛同しています。
もちろんこれは、日本だけでなく世界のグローバルスタンダードであり、そして私たちにとっても、より身近で大きな問題と今後なっていきます。つまりこの記事だけでは実感がわきませんが、これらの【リスク】を、私たちは「税金」として支払い、企業から購入するものにも、これらの「経費」が徐々に含まれていくという話です。
ある意味、それはやむを得ないことかもしれませんが、皆さんにお願いがあります。これから日本だけでなく世界で起こる【自然災害】【環境破壊】に関心を示しましょう。これは地球レベルの問題ですが、地球に住む私たちの問題です。他人事ではなく私たち自身のリアルな生活問題(お金の問題)となったのです。
今回のコラムのマイケル・ムーア監督の話も同じリアルな【再生可能エネルギー】のノンフィクションです。地球人として、この【リアル】に耳を傾けてください。
●マイケル・ムーア監督『Planet of the Human』というリアル
マイケル・ムーア監督の最新作『Planet of the Human』をご存知ですか?日本では話題になりませんでしたが、コロナ禍により上映が延期となり、4月22日のアースデーに合わせ、1ヶ月間 YouTube で無料配信され、なんと900万回以上の再生がありました。この【再生可能エネルギー】をテーマとしたドキュメンタリー映画は映画関係者だけでなく環境保護を訴える企業や団体にとっても非常に衝撃的な内容です。
そして、そのメッセージは、
「クリーンエネルギーは私たちを救わない」です!
例えば、風力発電。その要となる風力タービンの製造には地球から採取された大量の資源と化石燃料が必要という事実・・・。更にはタービンの寿命はたった 20 年しかなく、風力発電所を作るというのは、広大な土地に巨大な廃棄物を立てることになり、状況によっては、
ウエストバージニア州を例にあげ、山の山頂を吹き飛ばし自然破壊後に、建設しているという真実でした。
他にも太陽光発電のソーラーパネル、太陽電池を作るのに必要な石英、水晶の大量採掘の現状、またそれらを加工するのに必要な巨大な炉の熱を保つことは多くの化石エネルギーを消費するという現実・・・。
また、電気自動車、ソーラーカーの製造にも化石燃料や天然資源に依存しているリアリティ・・・。
持続可能だと信じていたバイオマスも燃やすための樹木を必要以上に収穫することになり、それは自然破壊の現状など目を覆いたくなるシーンもありました。
●私たちが知らなくてはいけない【リアル】
そして、私は心配しています。この映画が日本で上映されないのではないかと・・・。
海外で炎上するこの作品について、日本のマスコミはどこも取り上げず、こんなに地球環境や、毎日のように再生可能なエネルギーをテーマにしたコマーシャルが流れている日本なのに・・・。
確かに情報が古いのではというネットでレビューもありました。しかし、もしもですが、 今後、何らかの圧力が掛かり公式な上映がなされなかったら、マイケル・ムーア監督のメッセージが真実だと証明されることになります。皆さんも楽しみにしていてください。
そして、人類の惑星という『Planet of the Human』は、地球環境やエネルギー問題だけでなく、情報リテラシーや、日々の暮らしの中で無駄のない衣食住の消費を思いやりや、社会循環を意識したエシカル消費を改めて実感しました。
※マイケル・ムーア監督のチャンネルに、映画が再度アップされていました。是非、ご覧ください。