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テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-23

7月4日(土) コラム23号 エネルギー(Energy)×テック(Technology)= エネルギーテック③ 次世代エネルギーの可能性

2020年7月3日、梶山経済産業大臣が記者会見で『石炭火力発電所の約100基を2030年までに休廃止させる』と従来のエネルギー政策の転換を大々的に打ち出しました。私は、このニュースを見て日本の政府もまんざらでもないと思い、前回コラムとYouTubeで紹介し、タイムリーな発信となった【第五次エネルギー基本計画】を改めて見直しました。

 

するとある疑問が・・・あれ?大きな政策転換ではないかも。

そして再度、他のニュース記事や過去の資料を見直し、感じた疑問が不安に変わりました。

紹介した基本計画では2018年に32%ある石炭発電量を2030年には26%に削減する目標ですが、今回の100基という数だけ聞くと、現在140基あるものをヨーロッパ各国のように大胆に削減する計画だと感じましたが、もともとこの約100基は小型で老朽化もあり非効率で、2030年には廃止せざる得ないものでした。それ以上に、残る約40基の発電効率は良く、エネルギー基本計画とほぼ同じ発電量となる内容でした。

 

ひょっとしてパフォーマンス??

だとしたら何故、記者会見に至ったのだろうと、個人的に頑張ってて応援している「東京新聞」の見出しを使って想像してみました。

・6月25日『大学生がみずほ株主総会で迫る「将来が不安」石炭火力融資撤退を』

地球温暖化への対策強化を求める大学生の団体「Fridays For Future Japan」が、日本国内だけではなくベトナムなどの諸国の石炭火力発電事業社へ多額融資の停止を訴えみずほ銀行の株主総会に参加しました。そして提案を受けた経営陣は、2050年ゼロ目標だった投資を10年早める意向を示し、この模様は日本だけではなく世界に報道されました。

・6月27日『メガバンクが石炭火力に融資停止 環境団体は「海外に比べ周回遅れ」』

オランダのNGO団体が世界の石炭火力発事業社への融資額をまとめたところ、1位みずほ銀行、2位三菱UFJ銀行、3位三井住友銀行とトップ3が、日本の3大メガバンクでした。世界経済がESG投資をベースにSDGsに合わせた2030年の廃止目標にするのに対し、日本は10年早め、2040年を目標転換しましたが、世界の世論と専門家の意見は、日本政府の責任と報じています。

・7月2日『石炭火力100基廃止へ、政府 30年までに、「脱炭素」強化』

上記の世界的な批判を踏まえてなのか、そうでなければ違うニュアンスの危機感を感じてのスピーディ対応なのでしょうか、翌日の大臣の会見前に方針を打ち出しました。

そして、これにいち早く反応したのが、日本商工会議所の三村昭夫会頭が報道陣に対して、「政府が唐突に(こいうったことを)発表するはずがない・・・ふらつきがある風力発電や太陽光発電のバックアップ電源が必要で、単に石炭火力を減らして、自然エネルギーを増やすという選択肢はない」とコメントした。きっと知らなかったのでしょうね。

・7月3日『低効率の石炭火力発電所約100基を段階的に休廃止 2030年までに 梶山経産相が表明』

そして、この会見が開かれました。

面白いというのか、やっぱりかもと思ったのは、この会見後に小泉環境大臣がコメントを求められ、「日本の姿勢を示す大きな一歩となる」とフォローされていました。それに本来、このテーマは環境大臣が会見する問題ではないでしょうか。

そう考えると、やはり想像ですが、現実は経済にも環境にも政府の見解にも大きな変化はないので、深い相談もされず、3大メガバンクと世界のマスコミ、国民のプレッシャーを避ける政府のイメージ戦略が目的だったのではと思うのは私だけでしょうか。

 

【エネルギー問題】は、足し算引き算です。何かをやめなければ、新しいものは生まれない。もし梶山大臣が「パリ協定」というか地球環境や未来のこどもたちを意識して、この会見に臨んでいるのであれば、今回のコラムのテーマである【次世代エネルギー】は本当にお薦めです。心を込めてプレゼンテーション致します。

 

●皆さんにも知って欲しい【エネルギーテック】

 

今回は研究開発中の【エネルギーテック】を3つ紹介します。

1つ目は、『常温核融合』、『核融合』。太陽のエネルギーを再現するテクノロジーです。 

昨年、Googleが4年間で1000万ドルをこの研究チームに資金提供したとニュースになった『常温核融合』は、約30年前ユタ大学から始まり、日本のNTTだけでなく多くの世界企業が関わり、紆余曲折ありましたが、数年前から再び脚光を浴びるようになりました。 

実際はまだ分かりませんが、私も、もしもこのテーブルトップ実験といわれる卓上装置から太陽の力を再現出来れば、安価でクリーンな夢のエネルギーが誕生し、環境問題だけでなく、世界の経済は一変することになるはずです。だって資源は水ですから・・・。

そして、昨年4月、中国は「核融合装置《人口太陽》」を海外メディアに公開しました。また、日本も茨城県にある那珂(なか)核融合研究所が「地上に太陽を」をキャッチフレーズテーマに世界最先端の研究施設が今年稼働します。 

 個人的にも期待度が一番高い【エネルギーテック】です。

 

次は、なんと『芋エネルギー』です。あの食用の芋です。 

これは近畿大学の鈴木教授が推奨する「芋」を燃料とした新たなバイオマス発電です。 「芋」は、日本全国どこでも簡単に栽培しやすく、バイオエタノールもあり、乾燥させれば石炭の代わりになるそうです。そして、「芋」に含まれるでんぷん質は非常に燃料効率が良く、燃やしてもほとんど有害物質を出しません。

また、化石燃料の輸入費用約17兆円を海外ではなく、日本の地方の活性化と農業に投資すれば、新たな雇用創出だけでなく、非常食としても活用出来る一石三鳥の【次世代エネルギー】となります。 

政府の皆さん、思いきってこの『芋のバイオマスエネルギー』を日本の再生可能エネルギーとして採用しませんか?

●日本が世界に貢献するエネルギープロダクト

 

最後は『メタンハイドレート』です。

地球が作り出した第4の埋蔵資産と呼ばれ、石炭・石油・天然ガスに次ぐのが、この『メタンハイドレート』です。おもな成分は天然ガスですが、ハイドレード、つまり海の底で凍ったシャーベット状の天然ガスです。そして、この『メタンハイドレート』が日本周辺の海底に眠っています。

日本は、この資源を活用出来れば、石油の約 100 年分以上の【エネルギー】が確保出来ます。とはいえ、私も環境問題を考えれば、今更、化石燃料を使う懸念がありました。 

しかし、専門家の意見によると、温室効果ガスは人工的なものもありますが、もちろん天然なものもあり、このままメタンハイドレートを放置しておくと、いつかCO2の約20倍のメタンガスが自然発生するそうです。つまり、温暖化対策のためにも採取すべきなのです。 

政府は、現在2030 年を目標にこのプロジェクトに毎年予算化していますが、もう少しスピードアップさせ自給率を一気に解消し、世界経済安価に輸出し、その費用で世界のエネルギー研究開発及び問題を解決する基金を設立し、ノーベル賞の様な世界や地球に貢献するプロジェクトを日本がリーダーシップを取るのです。それがベストではというのが私の希望的観測です。 

このような新たな【エネルギーテック】という持続可能な環境イニシアチブの道を 

日本は進むべきです・・・。