コラム17 健康・医療(Health・Medical)×テック(Technology)= ヘルステック① 医療のイノベーション
2020年5月18日の産経新聞朝刊に、『銃・病原菌・鉄』の著者で生物学者、ノンフィクション作家のジャレド・ダイアモンド氏が「コロナ 知は語る」のインタビューで「今回の危機は知性ある人々に対して、国家間や国際機関との協力の重要性を教えている。邪(よこしま)な考えを持つ人々は、新型コロナを世界的な問題ではなく、国内問題として対処するよう仕向けているが、そんなことは不可能だ。ウィルスはいとも簡単に国境を越えて広がるのだから。新型コロナは世界的に解決すべき問題であり、国家エゴに利用されるべきものではない」と答えていました。
私はこのジャレドさんのメッセージを見て、改めて日本の国家と世界の中の日本について考えさせられました。連日のマスコミの報道にも問題があると思いますが、○○の国は良かったけど日本の政府は判断が遅いとか、○○国と○○国はコロナが原因で対立してるとか、○○国は良いけど○○国は悪い等々、世界危機が駆け引きばかりに使われてるようで、世界が最も望んでいる世界のリーダーシップが欠落しています。
しかし、そんな不安とは関係なく、市民同士はどうでしょうか。ヨーロッパから始まった「医療従事者やケアラーたちに拍手を」だったり、テレワークや各国のユーチューバーやSNSでの発信など国境を越えた活動や結び付き応援が、徐々にですが目に付くようになって来ました。そうです。国際交流は観光やビジネスだけではありません。
ジャレドさんが他にも「私は国民の行動の自由を制限することで新型コロナに対処しようとしている国々に対し、他の問題に対処する上でのモデルとなって欲しいと願っている」と語られています。
私も思います。国家のトップダウンだけに任せていては、国や人種を越えた平和や繋がりは拡がりません。「人類の危機」は、私たち地球人同士が「知」を出し合って「語る」のはいかがでしょうか・・・。
●テック産業とヘルステックの関係
今回から4回にわたって【ヘルステック】についてコラムを書かせて頂きます。
この言葉は、健康(ヘルス)・医療(Medical)、そしてテック(Technology)を合わせた造語ですが、日本では【ヘルステック】【メドテック】などと言われています。
そして、この業界の注目ポイントは、数年前からGoogle・Apple・Amazon・マイクロソフト・IBMなどテック産業が医療業界へ積極的に参入することで、イノベーションしていることです。。
その領域は、「診断・治療」「保険・薬局」「情報管理・運用」の3つの方向性に分かれています。例えば「診断・治療」では、GoogleのAI技術を活用した「眼病」「糖尿病」「パーキンソン病」「心臓病」の病気やその兆候を感知・発見する研究開発、臨床試験を、アップルはアップルウォッチを活用した心電図や生体情報収集システム、iPhoneフェイスタイムを使った表情認識による子どもの自閉症、発達障害の臨床試験を行っています。
「保険・薬局」では、Amazonが2018年にオンライン薬局のスタートアップ企業を買収し、アメリカ50州の薬局営業許可を取得しています。
「情報管理・運用」では、マイクロソフトが病院内の業務処理システム、ヘルスケア・プラットフォーム「ファイヤー・サーバー・フォー・アズーレ」を昨年発表しています。
また、ジェトロのホームページによるとアメリカの【ヘルステック】関連のスタートアップ企業の投資額も毎年10億~20億ドル伸びています。また、同時にテック産業とヘルスケア産業のパートナーシップも多く見られます。
●日本のヘルステックの現状は
それでは、日本の【ヘルステック】の現状はどうでしょうか。
少子化、高齢化に伴う人材不足や長時間労働、地方医療の崩壊など様々な問題があり、厚生労働省の試算によると、2036年までに24000人の医師が不足しているそうです。ましてや今回の新型コロナウイルスにより医療従事者の方々の医療体制を考えるとイノベーションは急務です。
そして、以前のコラムでもお伝えしましたが、この4月から日本でも初診患者のオンライン診療が受けられるようになりました。その大きな要因はコロナ対策ですが、しかし、アメリカでは既に年間約2000万人の方がオンライン診療などの医療サービスを受けている現状に比べると、日本での本格実現はまだまだ時間が掛かりそうです。
つまり日本独自の見解、展開を示さなければ医療の未来は切り拓けません。
そこでご提案が2つあります。
・1つ目は、医療関係者の皆さんに
日本は、医療従事者の比率は低いですが、薬剤師の割合は高いと聞きました。
薬剤師は、約18万人
そして、資格を持っている人はなんと30万人もいらっしゃいます。
薬剤師の方は、一般的には薬を出すだけと思われがちですが、そんなことはありません。
そのスキルを活かし、オンラインや薬局等での問診と薬のデリバリーサービスを事業化出来ませんか?
・2つ目は、コラムを読んでいただいてる皆さんに
日本でも急ピッチで進む【ヘルステック】業界ですが、必要性はありながらも、なかなか大きな発展は望めません。そこで、【ヘルステック】関連のベンチャーやスタートアップ企業の銘柄を買って投資して頂けませんか!個人的にもおススメですし、この業界を元気にすることが手っ取り早くできる私たちのサポートです。
次回は、コロナ対策に向けた【世界ヘルステック】についてお話します。