· 

テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-15

■5月9日 コラム15 農業(Agriculture)×テック(Technology)= 農業テック(AgTech・アグテック)③ ~スマート農業で食料自給率を上げたい~

日本企業のアフリカで「始める(ANZA)」を応援するカンパニーAAICが運営するホームページ【ANZA】の5月1日のブログで、『ナイジェリアのアグリテックスタートアップ『Beat Drone』がドローン技術を新型コロナウイルス対策に使用』という記事が出ました。
 記事によると、ナイジェリアのスタートアップ企業『Beat Drone(ビートドローン)』は、ドローンを用いて農地の散布、作物の監督、農地のマッピングを行うことで、より効率的な農業と作物の収穫量向上に貢献していましたが、この度、ナイジェリア政府は、同社に対し、新型コロナウイルスの蔓延を防ぐための消毒薬散布をするだけでなく、年間30万人以上が死亡するマラリアの原因となる蚊を排除するためにドローンの使用要請をしました。また、ナイジェリアの36州すべての消毒を支援するため、120万米ドル規模の工場を建設し、3,000を超えるドローンを製造するとも発表されました。
 WHOによれば,2018年の世界のマラリア罹患者数は2億2800万人,死亡者数は40.5万人であるところ,罹患者数及び死亡者数ともに,ナイジェリアが最も多い(罹患者数の約25%,死亡者数の約24%)とされています。
 【農業テック】の可能性は、農業だけでなくあらゆる分野で活躍をしています。そして、日本の【スマート農業】も日本の社会問題を解決するカギを握っています。

●自給率から地産地消へ向かうスマート農業

皆さんは、日本の食料自給率をご存知ですか?
農林水産省の発表では、カロリーベースによる試算で、38%です。ちなみにアメリカは130%、フランス127%、イタリア60%です。つまり日本は、62%を海外の輸入に頼っています。危機感を感じるほど低いですね!
また、今回の新型コロナウイルスの感染は、日本の農業にも大きな影響があり、特に中国からの技能実習生が来日出来ず、ニュースにもなりました。農家の現場での受け入れは、昨年10月の時点で32,000人で、5年前に比べると、二倍になっています。これは農家の高齢化と人手不足の問題です。
日本の食のリスクマネージメントから見ても、自給率を上げなければいけないのですが、依然として人手に頼る作業や熟練者でなければ出来ない作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減は、重要な課題です。
そして今回は、「農業技術」と「先端技術」を取り入れた、人員不足、人手問題を解決する【スマート農業】を、3つ紹介します。

・1つ目は、「ロボット」です。
先ずは、下町ロケットでも紹介された自動走行する無人ロボットトラクターの技術は、メーカーにより利点の違いはありますが、1人で4台の遠隔運転や監視が出来たり、衛星通信による位置情報を活用し圃場(ほじょう)間の移動を安全に行ったりと、耕うん、種まきから収穫まで全てを無人で行うテクノロジーは、限られた昨期の中で1人あたりの作業面積が拡大し、作業時間を4割削減しました。
また世界初となった、いちご自動収穫ロボットは、3台のカメラで、色や成熟具合、大きさを認識し、いちごを傷つけずトレーに収めるまで、全て自動で行います。
実は、他の農作物と比べ、いちごは多くの人手を必要としますが、このロボットは24時間稼働出来るので、農家の負担はかなり軽減されます。
・2つ目は、「ドローン」。
日本のドローンの技術はとても優れていて、肥料、農薬の散布とセンシングを行います。特にセンシングは、衛星通信経由でAIでの管理を行い、肥料や農薬を撒くタイミングや場所を特定し、短時間で正確に散布します。また病害虫予測も行うこのシステムにより、熟練農業従事者の判断を待たなくても、実施が可能となりました。

・3つ目は「IoT」です。
山梨県甲府にある奥野田ワイナリーでは、富士通が開発した「センシング・ネットワーク装置」というloTソリューション技術を使い、農園の気温、温度、雨量のデータを10分おきに収集蓄積するだけでなく、設置されたカメラにより、リアルタイム24時間いつでも、スマートフォンで農園のチェックをすることが出来ます。これにより農園に常に張り付く必要がなく、休日を取り、働き方改革になっています。

これらは、代表的なテクノロジーですが、まだまだ多くの技術開発が進行中です。
そして、今もこれからも、農業は人にやさしいがテーマです。自給率問題も、農家の人たちだけでは、解消出来ません。日本、地域で作ったものを地元の人が消費する循環を見直し、日本人はもう一度原点に返り、地産地消から始めませんか。
次回は、農業の未来と食品の安全意識に取り組むトレーサビリティや、エシカル消費をテーマにご紹介します。