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テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-8

■3月21日 コラム⑧
ノット8 『大阪DX都市×テック=「テック特区」構想~大阪シリコンバレー計画~』
2020年3月19日夕方、「3連休、大阪-兵庫の不要不急の往来自粛」というニュースが突然飛び込み、大阪で働く私や同僚たちは驚きました。しかし、それ以上に驚いたのは、大阪府の吉村知事と兵庫県の井戸知事の会見です。新聞社によっては、新型コロナウイルスの感染対策の「県政」というより、「牽制」し合う二人の「長(ちょう)」を煽るような報道は、「事態を重く受け止めた(大阪知事)」、「大阪はいつも大げさ(兵庫知事)」という大同小異なコメントに苦笑いしました。
考えてみれば元々、大阪と兵庫は、歴史的にみても政治・経済・文化と、全て協力し合ういい関係とは言えませんでした。近年でも、当時、大阪維新の会の元橋下知事(元市長)に対する井戸知事は、「空港の問題」「カジノの問題」など様々な対立がありました。その中でも特に「大阪都構想」に対しては、「ムードだけで制度を変えるのが一番いけないこと」と指摘したのは記憶に新しいです。
「大阪都構想」といえば元々、大阪府と大阪市も、仲良く協力し合う関係ではありませんでした。今はそれぞれの「長(ちょう)」が同じ政党で、協力し合っていますが、府民・市民、府職員・市職員の本音は実際どうなのでしょう。これは私の個人的な見解ですが、やはり大阪は、外面より内面をさらけ出す本音の付き合いだからこそ、協力し合ういい関係になるんだと思います。
安倍首相という国の「長(ちょう)」が全国民一人一人に協力を要請した大事な時に、県の「長(ちょう)」が協力し合わないと、これから改めて審議が問われる「大阪都構想」の行く末も「不幸せ(府・市合わせ)」な予感がします。
やはり未来永劫、大阪に期待するのは、この世界に一羽しかいないという「不死鳥(府・市・長)」のような世界を羽ばたく大阪です。
今回も大阪デジタル・トランスフォーメーション都市についてお話します。

・テクノロジーという特区構想「テック特区」

今まで、様々な角度で、デジタルトランスフォーメーション都市(以下、DX都市)の話をして来ましたが、では、今後実際に実現するためには、具体的にどうシュミレーションするべきなのか考えてみました。もちろん、大阪全体を一挙にトランスフォーメーション出来ればいいのですが、予算面や政治体制も含めて現実的ではありません。
そこで、私なりにテック産業をベースに、リアリティある夢物語を描いてみました。
先ずは、大阪のある特定エリアをモデル化するテック産業の特別行政区、「テック特区」を設けてはどうかと考えました。そしてこの「テック特区」に、全国・全世界からテック産業の大手、ベンチャーを集めモデル都市【大阪シリコンバレー】(仮称)を立ち上げ、大阪の新たなビジネス拠点として展開させます。とはいえ、単に企業誘致をしたい訳ではありません。
実は、私はシリコンバレーに留学経験があり、スティーブ・ジョブズ氏と同じハイスクールの同窓だったこともあり、都市のブランディングにより、人材も集まり育成されるという経験的なこだわりがあります。現に、留学中に起業した経験があります。このシリコンバレーというブランディングマジックを大阪に持って来たいのです。
そして、先ずは各分野の研究開発機関・部門に限定し、テック産業総合開発研究所と言いますか、【大阪バレー・ラボラトリーズ】を立ち上げます。とはいえ、ラボラトリーが完成したからといって、企業や研究者が集まる訳ではありません。そこで、この場所の誘致のプレゼンテーションとして、4つのメリットを考えてみました。
第一に、富岳のようなスーパーコンピューターを自由に活用できるインフラを整え、先ず実験として活用し、成功すれば自社に持ち帰り開発するシステムを作ります。
第二に、テック産業プレスセンターを設けます。
日々、進化し続けるテック産業ですが、それらの情報を集め発信するプラットフォーム化し、【大阪バレー・ラボラトリーズ】における研究開発技術を世界にプレゼンテーションする役割を担います。
第三は、「テック特区」大学院制度を作ります。
世界のテック産業の研究開発者を招いたり、世界の専門大学から講師を招いたり、このエリアで研究開発する方々の支援も兼ねた社会貢献学校と位置づけ、学生から社会人が学べる仕組みを構築し、研究開発に特化した大学院制度を設け学校としての収益化も図ります。
最後の第四は、研究開発支援システムを構築します。
研究開発に伴う設計、開発、設備、運用をベースとした基金を設け、これらに支援します。これが一番のハードルですが、行政関係だけでなく、投資家が常にここのプレスセンターに注目するエリアにしたいです。
それから、もちろん国や政府にも働きかけ、承認されれば、2011年に公布された総合特別区域法にある「法人事業税」や「固定資産税」の全額免除等も目指します。
・大阪の理想のエリアは住之江区

そして、これらを実現するエリアですが、大阪市住之江区に「テック特区」を作れないかと考えました。これは個人的にこの街が好きだという思いもあっての意見になりますが、現在、住之江区が2014年から取り組んでいる「咲州ウェルネスタウン構想」という計画があるのですが、このプロジェクトと連携して、南港ポートタウンとコスモスクエアをベースに、住居エリアと研究開発エリアが共存する街の再開発により、新たな住人と現住人が共存できるエリアとしても発展させたいと思っています。以上が、DX都市をベースとしたリアリティある夢物語です。
ちなみに、アメリカ西海岸のシリコンバレーは、第二次世界大戦の軍事予算という特別な状況から始まり、更には投資家とスタートアップを繋げるシステムが存在しています。
しかし、何と言ってもFacebook、Google、Apple、という時代を担うテック産業の寵児や企業が誕生したことが、この街を作り、育てました。
私が、DX都市にこだわるのは、単に最先端技術を取り入れた街を作りたいのではなく、日本に新たな時代の寵児や企業が生まれる【聖地】こそが私がイメージする【大阪シリコンバレー計画】です。【テック特区構想】です。
テクノロジーもそうですが、待ってるだけでは何も生まれません。チャレンジするスピリットの中にこそリアリティある夢物語が誕生するんだと思いますし、大阪にはその可能性があり、けして覚めたりしない実現可能な夢だと私は信じています。